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藤原嗚呼子さん

使う人 /  漫画家・藤原嗚呼子さん
京都にある大学を舞台に、文房具にまつわるエピソードとともに展開する人間模様を描いた「きまじめ姫と文具王子」。文具ファンにとって必読の漫画です。その作者である藤原さんに、仕事道具である文具、題材である文具との関わりについて伺いました。

 

 

藤原嗚呼子 / AAKO FUJIWARA
漫画家。2006年『どこへ。どこへも。』が、第21回 MANGA OPEN(講談社)かわぐちかいじ賞を受賞。翌2007年、第52回 ちばてつや賞(講談社)にて、『colors』が一般部門入選。2008年にも第65回新人コミック大賞(小学館)で「アフター・ザ・ドリーム」が佳作を受賞。代表作は『デザインノイロハ』(モーニング・ツー/2010年)や『きまじめ姫と文房具王子』(月刊スピリッツ/2020年)


一番身近な道具を題材に。

アイデアをノートに書き留めたり、原稿にペン入れをしたり。

デジタル化が進んだ今なお多くの漫画家にとってそうであるように、藤原さんにとっても文房具は切り離すことのできない相棒のような存在です。

そんないつもの仕事道具を、見方を変えて掘り下げてみると面白いはずと、いくつかあった候補の中から、文房具を連載のテーマに選んだことで「きまじめ姫と文具王子」が生まれました。

 

 

道具の背景にある物語に惹かれる。

文房具の姿形や機能だけでなく、それが生まれた背景にも魅力を感じると語る藤原さん。
たとえば鉛筆をテーマにした回では、鉛筆が日本で普及する過程を調べる中で小学校の起源を知り、毛筆から硬筆への変遷にはアルファベット教育が関係していたと知るに至ったそう。

こうした探究心によって得られた成果は、「きまじめ姫と文具王子」の主人公・かの子の視点を通じて読者も追体験できるようになっています。

 

漫画のセリフはノートに手書き。打ち込んだテキストだと組み替えが便利だけれど、元のアイデアや試行錯誤の過程が残らない。

万年筆を素敵に使う、文通というネットワーク。

文通ネットワークとの出会いも、文房具の漫画を手がけてよかったことのひとつだといいます。

文通ネットワークとは、はじめに5通やりとりした後、気が合えば個人情報を交換し、クリスマスカードや年賀状など、季節の節目に手紙やハガキを送り合う仲間を見つける取り組みのこと。

万年筆をコレクションし、マニアックな談議に終始するのではなく、実際に道具として活用できる場として、万年筆愛好家も多く参加しているのだとか。

 

 

読者から届く感想。手書きの手紙は便せんや使われた筆記具、筆跡などから伝わる情報が多い分、喜びも大きいそう。

返事を急がない、書くことが目的のコミュニケーション。 

藤原さんが好むのは、形式ばった文章よりも、近況をおしゃべりのように書き連ねるスタイル。仕事が落ち着いたタイミングで、特に用件がなくとも気の向くまま気軽に書き始めるのだといいます。
メールやSNSのように返事を急ぐことはありません。レスポンスを求める気持ちよりも、書き伝えることに重きを置いているからです。Twitterやネット上では、いかに見出しで気持ちを掴むか、という表現にこだわりがち。手紙であれば気負う事なく好きなペースで伝えられることが自分に合っているといいます。
一方、ハガキの様式美には相当なこだわりがある様子。宛名や切手、本文のレイアウトに悩みながら書くのが醍醐味だそう。
「きまじめ姫と文具王子」の連載はひと段落しましたが、今後も創作活動と並行して、文通は続けていきたいと語ってくれました。

 

 

取材後記
「きまじめ姫~」の連載も落ち着かれ、ゆったりした時間を過ごしてらっしゃる藤原さん。記事では書ききれない、手紙や文通の想いをお話しいただき、自分でも文通を始めたい気持ちになりました。手書きの手紙はメールやSNSと比べてしまいがち。気持ちを伝えるツールとしては同じかもしれませんが、“入力”と“手書き”には大きな隔たりがあると再確認させていただくお話でした。
上の写真は藤原さんの最近のお気に入りであるPostalcoのボールペン。洗練されたデザインと武骨な機能がポイントとのこと。私も憧れている筆記具の一つです。
(TAG STATIONERY STORE スタッフ M)
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